一本の川が流れている。
対岸の堤には一人の男が座っている。
傍らにはうずたかく乱雑に積み上げられた書物の山がいくつか。
男はこちら側を指さしては、書物の山から一冊の本を引き抜き、パラパラとページをめくる。
思い当たる箇所が見つかれば、そのページとこちら側をせわしなく交互に指さしながら、何事かをつぶやく。
ひとしきり指さし終えると、手を止めて満足げにうなずき、口許をほころばせては独り得心する。
男は、またこちら側を指さす。書物の山から一冊の本を引き抜く。ページをめくる。
せわしなく指さす。何事かをつぶやく。独り得心する。指さす。引き抜く。めくる。指さす。つぶやく。得心する。…………
…………指さす。つぶやく。得心。指。引き。めくる。……………………男は息絶える。
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